黄斑上膜(網膜前膜)は放置するとどうなる?いつ手術する?視力別の判断基準を解説

黄斑上膜は放置して大丈夫?手術の目安と見え方の変化を解説|京橋いしづち眼科(京橋駅徒歩1分・東京駅徒歩6分)

「健康診断の眼底検査で『黄斑上膜があります』と言われた。でも視力はまだ0.8ある。手術しなければいけないの?」

「ものがゆがんで見えるようになってきたけど、手術は怖い。しばらく様子を見ていても大丈夫?」

「網膜に膜が張っていると言われたが、放置するとどうなるのか、説明を受けてもよくわからなかった」

このような疑問を持ちながら、受診や治療に踏み切れずにいる方は少なくありません。黄斑上膜(網膜前膜)は、放置しても失明する病気ではありませんが、手術のタイミングを誤ると視力の回復が十分に得られないことがあります。「怖いから」「まだ見えているから」という理由で先延ばしにすることのリスクを、正直にお伝えします。

東京都中央区京橋駅・東京駅近くの「京橋いしづち眼科」では、黄斑上膜をはじめとした網膜疾患のOCT検査・診断・経過観察を行っています。「手術すべきか相談したい」という方もお気軽にご来院ください。

黄斑上膜が網膜を引っ張る状態の図解。正常な黄斑(なめらかな黄斑)と、黄斑上膜(薄い膜が張り網膜がゆがむ状態)の比較およびOCTによる確認について解説
目次

黄斑上膜とは何か――まず知っておくべき基本

黄斑上膜(おうはんじょうまく)は、網膜の中心「黄斑(おうはん)」の表面に薄い膜が張る病気です。英語では Epiretinal Membrane(ERM)、「網膜前膜(もうまくぜんまく)」とも呼ばれます。

黄斑は読書・顔の認識・細かい作業に必要な「中心視力」を担う最も重要な部位です。ここに膜が張ると網膜がたわみ、ものがゆがんで見える「変視症」や視力低下が起こります。50歳以上の約10%に存在するとされ、多くの方はゆっくり進行するため「年齢のせい」と見過ごしてしまいます。

放置するとどうなるのか?正直に伝えます

① 自然治癒はほぼありません

黄斑上膜が自然に消える(自然治癒する)確率は、報告によって差がありますが、概ね5〜10%以下とされています。「様子を見ていたら治った」という方はまれな例外であり、多くの場合は膜が厚みを増し、症状が徐々に悪化していきます。

② 「変視症」は放置するほど残りやすくなる

「ものがゆがんで見える」という変視症は、膜が網膜を引っ張っている間に神経が変形するために起こります。膜を外科的に取り除いても、神経の変形が長期間続いた後では「ゆがみの癒し」が不完全になることがあります。「手術すればゆがみが取れる」と思い込んでいると、術後に「ゆがみが残る」と感じるケースがあります。

③ 視力低下が進んでから手術すると回復に時間がかかる

視力が0.8→0.5→0.3と低下してから手術すると、術後の回復期間が長くなります。また、膜による牽引が長期間に及ぶほど網膜の変形が固定されやすく、視力・変視症ともに完全な回復が難しくなります。

④ 緑内障・白内障が合併しやすくなる

黄斑上膜では慢性的な網膜へのストレスにより、経過の中で白内障の進行を促すことがあります。また、硝子体手術そのものが白内障を加速させることが知られており、50歳以上の患者さんでは手術と同時に白内障手術を行うこともあります。

放置して良いのか、手術すべきか――整理
✓ 症状が軽く視力が保たれている(0.7以上)
→ 3〜6ヶ月ごとの定期観察で経過を見る。

✓ 変視症が強い・視力低下が進んでいる
→ 早めの手術を検討。

✓ 「視力があるから大丈夫」は必ずしも正しくない
→ 変視症の進行度・OCTで網膜の引っ張られ方を評価することが重要。

視力1.2でも手術が必要なことがある?

「矯正視力が1.2あるのに手術を勧められた」という方がいます。視力の数字だけで手術の要否は決まりません。黄斑上膜では次の点が重要です。

  • 変視症(ゆがみ)の強さ:視力があってもゆがみが強ければ生活の質が著しく低下する
  • OCTで見た網膜の変形度:膜が薄くても強く引っ張っていれば、視力が落ちる前に手術を考える
  • 職業・生活スタイル:デザイナー・医師・精密作業者など「視力の質」を高く必要とする方は、低下が少ないうちに手術を選ぶことが多い
  • 反対の目の状態:片目に黄斑上膜があり、もう一方の目がすでに視力低下している場合は特に注意

「視力が良いから大丈夫」ではなく、「変視症の程度」「網膜の変形度」「日常生活への影響」を総合的に判断します。

黄斑上膜(硝子体手術)の手術手順と流れ。1. 小切開(白目に小さな穴を開ける)、2. 硝子体の除去、3. 黄斑上膜の剥離(膜をきれいに取り除く)の3ステップを解説

手術(硝子体手術)について――費用・期間・リスク

どんな手術?

眼球内に細いメスを刺し、「硝子体」を除去した後、専用ピンセットで黄斑上膜を剥がす手術です。局所麻酔・日帰りまたは短期入院(1〜3日)で行われます。手術時間は30〜60分程度です。

費用(健康保険適用)

手術・入院が必要な場合は健康保険が適用されます。具体的な費用や高額療養費制度の適用につきましては、受診時にご案内致します。

術後の回復期間

術後は視力が一時的に低下します。回復は3〜12ヶ月かけてゆっくりと進みます。変視症の改善は視力回復より早いことが多く、2〜3ヶ月で「ゆがみが和らいだ」と感じる方が多いです。

主なリスク

  • 白内障の進行(多くは同時に対応)
  • 感染性眼内炎(1,000〜2,000例に1件程度)
  • 網膜裂孔・剥離(非常にまれ)
  • 黄斑上膜の再発(約5〜10%)

よくある質問(FAQ)

Q. 「経過観察でいい」と言われたが、いつになったら手術になるの?
A.
① 視力が0.7以下に低下した
②変視症が日常生活に支障をきたすレベルになった。
③OCTで網膜の変形が急速に進んだ。
これらの目安のうち1つ以上が当てはまったとき、手術を積極的に検討します。
「様子を見ましょう」という診断が続く場合は、3〜6ヶ月ごとのOCT検査を欠かさないことが重要です。
Q. 手術後もゆがみが残ることはある?
A. あります。特に変視症が長期間続いた後に手術した場合、網膜の神経変形が固定されているため、術後もある程度のゆがみが残ることがあります。早期手術のほうが変視症の改善率が高い傾向があります。
Q. 両目に黄斑上膜がある場合、一度に両目の手術はできる?
A. 通常、片目ずつ間隔をあけて行います。術後に片目が見えにくい期間があるため、生活への影響が大きい目(よく使う目・症状が強い目)から手術するのが一般的です。

京橋・東京駅近くで黄斑上膜の相談なら「京橋いしづち眼科」へ

当院では、黄斑上膜の手術適応がある場合は、手術する病院に紹介しています。OCT検査を当日実施し、「手術が必要な状態かどうか」「いつ頃を目安に手術を考えるか」を丁寧に説明します。「他院で経過観察と言われたが、セカンドオピニオンを求めたい」という方も歓迎します。

東京メトロ銀座線「京橋駅」1番出口から徒歩1分、JR「東京駅」八重洲南口から徒歩6分、都営浅草線「宝町駅」A4出口から徒歩2分。

まとめ

黄斑上膜は自然治癒がほぼなく、放置すると変視症が固定化・視力低下が進み、術後の回復が不十分になるリスクがあります。「視力がある=大丈夫」ではなく、OCTで網膜の変形度・変視症の強さを定期評価することが重要です。

手術のタイミングは「視力だけでなく、変視症・生活への影響・膜の牽引強度」で総合的に判断します。「怖いから」「まだ見える」という理由だけで先延ばしにすると、手術しても十分な回復が得られなくなることがあります。気になる方はまず眼科でOCT検査を受けてみてください。黄斑上膜について詳しく知りたい方は、当院のページもご覧ください。

参考文献・参考情報
・日本眼科学会「網膜前膜(黄斑上膜)診療ガイドライン」
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=42

この記事の執筆者

略歴

1999年 愛媛大学医学部 卒業
2006年 愛媛大学大学院 医学研究科 修了
2008年 米国ハーバード大学スケペンス眼研究所 留学
2010年 愛媛大学医学部 眼科 助教
2013年 愛媛大学医学部 眼科 講師
2016年 シンガポール国立眼センター 留学
2016年 いしづち眼科 理事長
2018年 東邦大学医学部 眼疾患先端治療学寄附講座准教授
2025年 京橋いしづち眼科 理事長

認定, 所属学会

認定:日本眼科学会専門医 / 眼科PDT認定医 / ボトックス治療認定医 / 視覚障害者用補装具適合判定医師

所属学会:日本眼科学会, 日本眼感染症学会(評議員), 日本化学療法学会(評議員), 日本角膜学会(評議員), 日本コンタクトレンズ学会(理事), 日本感染症学会, 日本眼炎症学会

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