老眼は何歳から始まる?老眼鏡・遠近両用・手術の違いを眼科医が解説

老眼は何歳から始まる?老眼鏡・遠近両用・手術の違いを解説(40代から知っておきたい老眼の正しい知識)|京橋いしづち眼科(京橋駅徒歩1分・東京駅徒歩6分)

「最近、スマートフォンの文字を読むときに腕が伸びてしまう」「夕方になると小さい文字がにじんで読みにくい」「レストランの薄暗いメニューが読めなくなってきた」——40代に入ってから、こんなことを感じ始めた方は多いのではないでしょうか。

これは老眼(presbyopia:プレスビオピア)の始まりです。老眼は「なんとなく恥ずかしいもの」「認めたくない変化」と感じる方も多いですが、老眼は誰にでも起こる生理的な変化であり、病気ではありません。

一方で、「老眼鏡を使うと老眼が進む」「遠近両用は慣れない」「老眼の手術ができるらしいが本当?」など、正確ではない情報も多く出回っています。この記事では、眼科医の立場から老眼について正直にお伝えします。

調節力(近くを見る力)の年齢変化を示す折れ線グラフ。10代・20代から年齢とともに調節力が低下し、40代で約6D、50代で約3D、60代以降はほぼ0Dになる推移を図解。「調節力は40代から大きく低下し、50代で目安を下回ります。近くの文字が見えにくくなったら、老眼鏡の使用を検討しましょう」という解説テキスト|京橋いしづち眼科(京橋駅徒歩1分・東京駅徒歩6分)
目次

老眼はなぜ起こる?仕組みを理解しておくと怖くない

目の中には「水晶体(すいしょうたい)」という透明なレンズがあります。若いうちは水晶体が柔らかく弾力があり、ゴムのように変形してピントを合わせ(これを「調節」といいます)、遠くも近くも見ることができます。

加齢とともに水晶体が固くなり、弾力を失うと、近くにピントを合わせる力(調節力)が低下します。これが老眼です。40歳ごろから徐々に始まり、60歳ごろにはほぼ調節力がなくなります。

老眼は水晶体の変化であり、目に悪い生活習慣(スマホの見過ぎなど)が原因ではありません。「老眼鏡を使うと老眼が進む」という話は誤解です。老眼の進行速度は老眼鏡の使用とは無関係で、水晶体の加齢変化によって決まります。

老眼が始まるサインと年齢の目安

老眼が始まるサインチェックリスト

以下に2つ以上当てはまれば老眼が始まっているかもしれません
・スマートフォンを腕を伸ばして見るようになった
・薄暗い場所(レストランのメニュー・電車内)で文字が読みにくい
・本、新聞を読んでいると目が疲れてくる
・近くを長時間見た後、遠くにピントが合うまでに時間がかかる
・夕方になると小さな文字がにじんで見える
・近視の方:メガネを外したほうが手元が見やすい

年齢の目安

老眼の始まりには個人差がありますが、平均的には40〜45歳ごろに自覚症状が出始め、45〜50歳で「老眼鏡が必要」と感じる方が増えます。近視の方は「眼鏡を外せば手元が見える」ため老眼の自覚が遅れることがあります。遠視の方は若いうちから調節力に頼って見ているため、早めに老眼の影響が出やすいです。

老眼の矯正方法3つの比較図。1.老眼鏡(手元が見えやすい・かけ外しが必要)、2.遠近両用(1本で遠くも近くも・慣れが必要)、3.手術(白内障手術と同時に検討・費用や適応の確認が必要)のポイント比較と「自分に合う方法は眼科で相談」の案内|京橋いしづち眼科(京橋駅徒歩1分・東京駅徒歩6分)

老眼の矯正方法を正直に比較します

① 老眼鏡(単焦点読書用レンズ)

近くを見るための専用眼鏡です。デスクワーク・読書・スマートフォン使用時に装着し、遠くを見るときははずします。

  • メリット:安価、見え方がクリア、目が疲れにくい
  • デメリット:かけはずしが必要、外出時には使いにくいケースも

老眼鏡を使い始めることに抵抗がある方もいますが、適切な老眼鏡を使うことで眼精疲労・頭痛・肩こりが大幅に改善するケースが非常に多いです。「かけると老眼が進む」は誤解であり、むしろ「使わない」ことで目に余分な負担をかけ続けるほうが問題です。

② 遠近両用眼鏡(累進屈折力レンズ)

一枚のレンズの中で、上(遠く)〜下(近く)にかけて度数が累進的に変化するレンズです。かけたまま遠くも近くも見られる便利さがあります。

  • メリット:かけはずしが不要、外出・デスクワーク両方に使える
  • デメリット:慣れるまで歪みや違和感がある(2〜4週間程度)、レンズ代が高い、レンズの設計・処方が重要なため眼科での精密検査が必要

「遠近両用が合わなかった」という方の多くは、「度数の設定が合っていない」「レンズ設計が自分のライフスタイルに合っていない」ケースです。眼科での正確な屈折検査・調節力測定・職業・使用環境に合わせた処方が重要です。

③ コンタクトレンズ(遠近両用・モノビジョン)

遠近両用コンタクトレンズは、一枚のレンズに遠近の焦点を持つ多焦点コンタクトです。モノビジョンは、片目を遠用・もう片目を近用に合わせる方法です。

  • メリット:眼鏡なしで生活できる
  • デメリット:遠近両用コンタクトは遠くの見え方がやや低下する、モノビジョンは立体感が落ちる、全員に適応するわけではない(試用期間が必要)

④ 老眼の手術(多焦点眼内レンズを使った白内障手術)

「老眼の手術」として最も普及しているのは、白内障手術と組み合わせた「多焦点眼内レンズ(多焦点IOL)」の移植です。濁った水晶体を取り出し、遠近を同時に見られる特殊なレンズを挿入します。

  • 対象:白内障が始まっている50代後半〜(白内障と老眼を同時に治療)
  • メリット:術後は眼鏡なしで遠近が見える(ただし完全ではない)
  • デメリット:選定療養で単焦点眼内レンズよりも費用が掛かり、夜間のハロー・グレア(光の輪・ぎらつき)が気になることがある

「老眼だけを手術で治す」ためのレーザー手術(LASIK)は老眼に対しては十分な効果が得られないことが多く、眼科学会は老眼のみを目的としたLASIK手術には慎重な立場をとっています。

眼科で老眼の相談をすべきタイミング

  • 老眼鏡・遠近両用が「合わない気がする」(適切な処方を受けていない可能性)
  • 老眼鏡を使うようになってから眼精疲労・頭痛が増えた
  • 手元が見えにくい+遠くもかすんできた(白内障の合併の可能性)
  • 50代以降で「老眼が急に進んだ感じがする」(白内障の急速進行の可能性)

老眼に加え、緑内障・白内障・黄斑変性など他の眼疾患も40〜50代以降に増加します。老眼の相談をきっかけに眼底検査・眼圧検査で全体的な眼の健康状態を確認することをお勧めします。

よくある質問

Q. 老眼鏡をかけると老眼が進むというのは本当?
A. これは誤解です。老眼の進行は水晶体の加齢変化で決まり、老眼鏡の使用とは無関係です。むしろ老眼鏡を使わずに無理をすると、眼精疲労・頭痛・肩こりが慢性化します。
Q. 近視があると老眼鏡は不要?
A. 「近視の人は老眼にならない」は誤解です。近視の方も老眼は進行します。近視の方は眼鏡を外すと近くが見やすいため老眼に気づきにくいですが、コンタクト装用中や眼鏡をかけたまま手元作業をすると疲れやすくなります。
Q. 40代で老眼鏡を使い始めると早すぎる?
A. 早すぎることはありません。老眼鏡は「見えにくくなってから」ではなく「目が疲れるようになったとき」が使い始めの目安です。40代前半でも、手元作業で目が疲れるなら老眼鏡(デスク用・読書用)の使用を検討することをお勧めします。
Q. 老眼は進み続ける?どこかで止まる?
A. 老眼は60歳ごろまで進行し、その後はほぼ調節力がゼロになって止まります。70代で「老眼が改善した」と感じる方もいますが、これは白内障が進行して水晶体が近視化したためのことが多く、視力全体としては低下しています。

京橋・東京駅近くで老眼のお悩みなら「京橋いしづち眼科」へ

① 精密屈折検査・調節力測定で最適な眼鏡を処方

「老眼鏡が合わない」「遠近両用で疲れる」という方の多くは、眼科での精密な屈折検査・調節力検査を受けることで原因を追究します。。当院では視力だけでなく、調節力・両眼視機能・生活スタイルに合わせた処方を提案します。

② 老眼の相談と同時に眼底・眼圧検査も

40代以降は緑内障・白内障・黄斑変性などの眼疾患が増加する時期です。老眼の相談をきっかけに眼全体の健康チェックを受けてみてください。

③ 京橋駅1番出口から徒歩1分

京橋いしづち眼科は、東京メトロ銀座線「京橋駅」1番出口から徒歩1分、JR「東京駅」八重洲南口から徒歩6分、都営浅草線「宝町駅」A4出口から徒歩2分にあります。

まとめ

老眼は40〜45歳ごろから始まる水晶体の加齢変化であり、病気ではありません。「老眼鏡で老眼が進む」は誤解です。老眼鏡・遠近両用・手術の選び方は、ライフスタイル・近視の有無・白内障の程度によって異なります。

「老眼鏡が合わない」「遠近両用に慣れない」という方は、眼科での精密検査を受けることで、自分に合った矯正法が見つかることが多いです。また老眼が急に進んだ感じがする場合は、白内障の進行を疑う必要があります。

老眼のことをきっかけに、眼全体の健康状態を眼科でチェックすることをお勧めします。

参考文献・参考情報
・日本眼科学会「老眼」
https://www.nichigan.or.jp/
・厚生労働省 健康・医療「白内障・老眼について」
https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c05/25.html
・日本白内障屈折矯正手術学会「多焦点眼内レンズの適応と限界」
・Holden BA et al. Global prevalence of presbyopia and vision impairment from uncorrected presbyopia. Ophthalmology. 2016

この記事の執筆者

略歴

1999年 愛媛大学医学部 卒業
2006年 愛媛大学大学院 医学研究科 修了
2008年 米国ハーバード大学スケペンス眼研究所 留学
2010年 愛媛大学医学部 眼科 助教
2013年 愛媛大学医学部 眼科 講師
2016年 シンガポール国立眼センター 留学
2016年 いしづち眼科 理事長
2018年 東邦大学医学部 眼疾患先端治療学寄附講座准教授
2025年 京橋いしづち眼科 理事長

認定, 所属学会

認定:日本眼科学会専門医 / 眼科PDT認定医 / ボトックス治療認定医 / 視覚障害者用補装具適合判定医師

所属学会:日本眼科学会, 日本眼感染症学会(評議員), 日本化学療法学会(評議員), 日本角膜学会(評議員), 日本コンタクトレンズ学会(理事), 日本感染症学会, 日本眼炎症学会

目次