
コンタクトレンズ(CL)が原因で失明することはまれです。しかし、重い角膜感染症では、角膜に濁りが残ったり、角膜移植が必要になったりすることがあります。今回は、夜間に装用するオルソケラトロジーレンズで起きた感染症7例の報告をもとに、CL感染症の怖さと予防法を解説します。
スイスからの報告:オルソケラトロジーレンズで起きた角膜感染7例
スイスの眼科施設の医師らは、2021〜2024年に経験したオルソケラトロジー関連の感染性角膜炎7例を、Klinische Monatsblätter für Augenheilkunde誌に報告しました。患者さんは17〜34歳と若い世代が中心です。
原因は1つではありませんでした。黄色ブドウ球菌などの細菌、単純ヘルペスウイルス、そして環境中にいる微生物「アカントアメーバ」が検出され、アカントアメーバは7例中3例を占めました。
特に注目されるのは34歳男性の症例です。最初はヘルペス性角膜炎と診断されましたが、後の検査でアカントアメーバが見つかりました。長期間の治療を行いましたが、最終的に角膜移植が必要になりました。一方、17歳女性のアカントアメーバ角膜炎は、6か月の治療で矯正視力1.2まで回復しています。
予防には患者さんへの教育と徹底したレンズの衛生管理が欠かせないと結論づけています。

| 原因 | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 細菌 | 緑膿菌、黄色ブドウ球菌 | 進行が速く、数日で重症化することがある |
| アカントアメーバ | 水道水や土にいる微生物 | 強い痛みが特徴。診断が難しく、治療が長引きやすい |
| 真菌 | カビの仲間 | 薬が効きにくく、治療に時間がかかる |
| ウイルス | 単純ヘルペスウイルス | 他の感染と紛らわしいことがある |

なぜCLで感染が起きるのか
角膜は本来、感染に強い組織です。しかしCLを使うと、小さな傷や酸素不足で角膜の守りが弱くなることがあります。そこに、汚れたレンズやケースから微生物が運ばれると、感染が起きやすくなります。寝ている間に装用するレンズでは、こうしたリスクに特に注意が必要です。

こんな症状は早めに眼科へ
- 強い充血
- 目の痛み
- まぶしさ
- 急な視力低下
- 黒目の白い濁り

症状があるときはCLを外し、使っていたレンズとケースを持って受診してください。原因の微生物を調べる手がかりになります。
感染を防ぐために
- レンズに触れる前に手を洗う
- こすり洗いと消毒を毎回行う
- レンズやケースを水道水で洗わない
- ケースを清潔に保ち、定期的に交換する
- 使用期限と装用時間を守る
- 症状がなくても定期検査を受ける

CLは目に直接触れる医療機器です。正しく使えば安全に使える一方、「少しおかしい」を放置しないことが大切です。
参考文献
- Said S, et al. The Danger of Overnight Contact Lenses – Orthokeratology-related Infectious Keratitis. Klin Monbl Augenheilkd. 2026;243(4):376-384.
https://academia.carenet.com/share/news/03e98bea-b49c-45e0-a0fc-a1c66babfcbd
