ものもらいは何科を受診する?眼科と皮膚科の違い、受診の目安を眼科医が解説

ものもらいが気になり、鏡でまぶたの状態を確認する女性

まぶたが赤く腫れて、まばたきをすると痛い。鏡を見るとまぶたの縁に白い点がある。こうした「ものもらい」の症状が出たとき、まず迷うのが「何科に行けばよいのか」ではないでしょうか。結論からお伝えすると、ものもらいは眼科で診る病気です。まぶたは皮膚の一部でもあるため皮膚科を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、まぶたの内側の状態や、似た症状を示す別の目の病気との見分けは、眼科の診察機器でなければ十分に確認できないことがあります。この記事では、ものもらいで受診すべき診療科、眼科と皮膚科の違い、受診の目安、眼科で行う検査と治療について、東京駅・京橋駅近くの京橋いしづち眼科が解説します。

目次

ものもらいは「眼科」で診る病気です

ものもらいは、まぶたの縁や内側にある分泌腺に炎症が起きる病気の通称で、医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2つに分けられます。地域によっては「めばちこ」「めいぼ」と呼ばれることもあります。

麦粒腫はまぶたの汗腺や脂腺に細菌(黄色ブドウ球菌など)が感染して起こるもので、赤み・腫れ・痛みを伴うことが多いのが特徴です。一方の霰粒腫は、まぶたの中にある脂の腺(マイボーム腺)の出口が詰まり、たまった脂を処理する過程でしこりができるもので、典型例では痛みや赤みはほとんどなく、コロコロとしたしこりを触れます。

どちらもまぶたの病気ですが、炎症が起きている場所はまぶたの縁や裏側であり、目の表面(結膜や角膜)に近い場所です。そのため、まぶたの裏側を確認したり、炎症が目の表面に及んでいないかを調べたりするには、眼科で使う細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という検査機器が必要になります。ものもらいの症状に気づいたら、まず眼科を受診することが大切です。

眼科と皮膚科の違い。皮膚科ではいけないの?

まぶたは皮膚でもあるため、「皮膚科でも診てもらえるのでは」と考える方は少なくありません。実際、まぶたの皮膚の表面に限った湿疹やかぶれであれば皮膚科の領域です。

ただし、ものもらいの多くはまぶたの「内側」や「縁」にある分泌腺の病気です。まぶたを裏返して裏側の状態を確認すること、しこりが皮膚側にあるのか結膜側にあるのかを見極めること、そして目の表面に炎症や傷が及んでいないかを確認することは、眼科の診察で行います。また、ものもらいと似た症状を示す病気には、眼瞼炎(がんけんえん)、涙嚢炎(るいのうえん)、眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)などがあり、まれにまぶたの腫瘍が隠れていることもあります。こうした鑑別を行えるのは眼科です。

「まぶたの症状だから皮膚科」と決めつけず、腫れや痛み、しこりがまぶたの縁や内側にある場合は眼科を選ぶことが重要です。

こんな症状があれば眼科へ。受診の目安

ものもらいは軽いものであれば自然に治ることもあります。しかし、次のような症状がある場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。

  • まぶたの赤み・腫れ・痛みが2〜3日たっても引かない、あるいは強くなっている
  • まぶたを触ると熱っぽく、押すと痛む
  • まぶたの縁に白っぽい点(膿のたまり)が見える
  • しこりが徐々に大きくなっている、または繰り返しできる
  • 腫れが強く目が開けにくい、まぶた全体や頬まで腫れが広がっている
  • 発熱を伴う、視力が落ちた気がする、目を動かすと痛い

特に最後の項目に当てはまる場合は、まぶたの奥まで炎症が広がっている可能性があり、早急な診察が必要なことがあります。また、高齢の方でしこりがなかなか治らない場合は、霰粒腫と思われた病変の中に脂腺癌などの悪性腫瘍が含まれていることもあると日本眼科学会が注意喚起しています。「いつものものもらいだから」と自己判断せず、眼科で確認することが大切です。

市販の目薬で様子を見てもよい?

ドラッグストアには「ものもらい用」と表示された抗菌成分入りの目薬が販売されています。ごく初期の軽い麦粒腫であれば、市販薬で症状が落ち着くこともあります。ただし、市販薬で対応できるのは細菌感染による麦粒腫の一部に限られ、霰粒腫(脂の詰まり)には抗菌薬の点眼は効きません。

また、麦粒腫として治療を始めた後、腫れが引いたらしこりがはっきりしてきて、実は霰粒腫だったというケースも珍しくありません。その場合は治療の方針が変わります。市販薬を2〜3日使っても改善しない、あるいは悪化するようであれば、眼科で診察を受けることが重要です。

なお、たまった膿を自分で潰して出そうとするのはおすすめできません。炎症が周囲に広がったり、皮膚に痕が残ったりするおそれがあります。

ものもらいの診察で、眼科医が患者の目やまぶたの状態を検査している様子

眼科で行う検査と治療

診察と検査

眼科では、まず問診で症状が始まった時期、痛みや赤みの有無、繰り返しているかどうか、コンタクトレンズの使用状況などを伺います。その後、細隙灯顕微鏡でまぶたの縁や裏側、目の表面を拡大して観察し、麦粒腫か霰粒腫か、あるいは別の病気かを見極めます。繰り返しものもらいができる方では、マイボーム腺の働きが落ちていないか(マイボーム腺機能不全)も併せて確認します。

麦粒腫の治療

細菌感染による麦粒腫には、抗菌薬の点眼や眼軟膏、症状によっては内服薬を用いて炎症を抑えます。早めに治療を始めるほど、短期間で落ち着くことが多いとされています。膿がたまって腫れが強い場合には、切開して膿を出す処置を行うことがあります。

霰粒腫の治療

脂の詰まりによる霰粒腫は、炎症が強い時期には麦粒腫との区別も兼ねて抗菌薬や炎症を抑える薬を使い、まず消炎を図ります。しこりが小さければ自然に吸収されることも多いのですが、吸収には時間がかかることがあります。しこりが大きい、なかなか小さくならない、見た目が気になるといった場合は、しこりを摘出する手術や、ステロイドの注射といった治療が検討されます。どの治療が適しているかは、しこりの大きさや位置、年齢などによって異なりますので、眼科で相談することが大切です。

再発を防ぐために

ものもらいを繰り返す方では、まぶたの縁を清潔に保つケア(リッドハイジーン)や、蒸しタオルなどでまぶたを温めて脂の流れをよくすることが再発予防に役立つ場合があります。アイメイクを落とし残さないこと、コンタクトレンズの取り扱いを清潔にすることも重要です。当院では、繰り返す霰粒腫の背景にマイボーム腺機能不全がある場合、ドライアイ専門外来と連携してご案内しています。

目元に温かいタオルを当て、まぶたを温めながら休む女性

子どもや妊娠中の方のものもらいは?

お子さまのものもらいも、基本的な治療の考え方は大人と同じです。ただし、お子さまは目をこすりやすく、霰粒腫が大きくなりやすい傾向があります。処置が必要かどうかの判断は年齢や状態によって異なりますので、眼科で相談することが大切です。

妊娠中や授乳中の方は、使用できる薬に配慮が必要な場合があります。受診の際に妊娠・授乳中であることを必ずお伝えください。

東京駅・京橋エリアでものもらいの症状が続く方へ

ものもらいは身近な病気ですが、「何科に行くか」で迷って受診が遅れると、腫れが強くなったり、しこりが残ったりすることがあります。まぶたの赤みや腫れ、しこりに気づいたら、皮膚科ではなく眼科を選ぶことが大切です。京橋いしづち眼科は銀座線京橋駅1番出口から徒歩1分、都営浅草線宝町駅からも徒歩2分の場所にあり、東京駅・日本橋・銀座エリアにお勤めの方も通院しやすい立地です。

よくある質問(FAQ)

ものもらいは人にうつりますか?

麦粒腫は細菌感染ですが、一般的な接触で他人にうつることはほとんどありません。「ものもらい」という名前から感染すると思われがちですが、はやり目のような流行性の病気ではありません。念のためタオルの共有は避けるとよいでしょう。

コンタクトレンズはつけたままでよいですか?

炎症がある間は、コンタクトレンズの装用を控えて眼鏡で過ごすことをおすすめします。レンズの再開時期は、受診時に医師にご確認ください。

ものもらいで会社や学校を休む必要はありますか?

感染が広がる病気ではないため、症状が軽ければ通常どおりの生活で問題ないことが一般的です。ただし、腫れや痛みが強い場合は無理をせず受診してください。

眼科に行くとき、メイクはしていってもよいですか?

まぶたの状態を正確に確認するため、アイメイクはできるだけ控えていただくと診察がスムーズです。

何度も同じ場所にできるのはなぜですか?

マイボーム腺の詰まりやすさや、まぶたの縁の炎症(眼瞼炎)が背景にあることがあります。繰り返す場合は、その原因を含めて眼科で確認することが重要です。

まとめ

ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)は眼科で診る病気です。まぶたの縁や内側の分泌腺の病気であること、似た症状の別の病気と見分ける必要があることから、皮膚科ではなく眼科を受診することが大切です。市販薬で様子を見てよいのはごく初期の軽い麦粒腫に限られ、2〜3日で改善しない場合や、しこりが大きくなる場合、腫れが広がる場合は早めに眼科へご相談ください。症状の現れ方には個人差がありますので、自己判断せず眼科で確認することが重要です。

受診のご案内

京橋いしづち眼科では、ものもらいの診察から、点眼・内服による治療、繰り返す場合の原因の確認まで対応しています。まぶたの赤み・腫れ・しこりが気になる方は、お気軽にご相談ください。詳しくはものもらい(麦粒腫・霰粒腫)の診療案内ページをご覧ください。治し方や自宅でのケアについてはものもらい(麦粒腫・霰粒腫)の正しい治し方でも解説しています。まぶたの縁の炎症が気になる方は眼瞼炎について、繰り返す方はドライアイ・マイボーム腺機能不全(MGD)についても併せてご参照ください。

参考文献

この記事の執筆者

略歴

1999年 愛媛大学医学部 卒業
2006年 愛媛大学大学院 医学研究科 修了
2008年 米国ハーバード大学スケペンス眼研究所 留学
2010年 愛媛大学医学部 眼科 助教
2013年 愛媛大学医学部 眼科 講師
2016年 シンガポール国立眼センター 留学
2016年 いしづち眼科 理事長
2018年 東邦大学医学部 眼疾患先端治療学寄附講座准教授
2025年 京橋いしづち眼科 理事長

認定, 所属学会

認定:日本眼科学会専門医 / 眼科PDT認定医 / ボトックス治療認定医 / 視覚障害者用補装具適合判定医師

所属学会:日本眼科学会, 日本眼感染症学会(評議員), 日本化学療法学会(評議員), 日本角膜学会(評議員), 日本コンタクトレンズ学会(理事), 日本感染症学会, 日本眼炎症学会

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